食通のためのネタ話

「八宝菜」誕生にまつわるお話

一回の食事に主菜、点心200皿、合間におやつ40皿を食していた西太后は、本物のグルメだったらしく、こんな逸話が残されている。
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あるとき、料理人たちが何か美味しいものを食べている、というウワサを聞いた西太后は、早速それをつくらせて、実際に試してみた。それがウワサに違わぬ美味しさだったので、料理名を尋ねたところ、誰も答えられぬ者がいない。無理もない。実はこの料理、調理後の残菜を集めて、ごった煮にしたものだったからである。
そこで西太后曰く「数々の宝を集めてつくったように美味な料理だから、以後は八宝菜とよびなさい」。さすがは本物のグルメ、ネーミングもなかなかのセンスである。

 

この話からもわかるように「八宝菜」の「八」は、
必ずしも八種類の材料を使うからということではない。
本来「八」の字は、互いにそむきあう二本の線で、
分かれるという意味を表している。
反発しあえば離れ、広がりが増していくから、そこから分ける、
開くという意味にも用いられるようになった。
つまりは、数多くのものを意味している数字で、「八宝菜」は
良い材料を多く取り合わせてつくった料理というわけだ。
また「八宝」とは、唐の時代には天子ののもつ八種の印の
総称でもあった。
贅沢三昧をしていた西太后が、残り物のごった煮をこれほど
評価したというのも面白い。