食通のためのネタ話

ネギトロの歴史ってわずか50年なの!

日本人のマグロ好きは、世界でも有名。
とくにネギトロには目がないようである。

 

一般にネギトロは、昔からあった食べもに思われがちだが、実は戦後生まれなのである。ネギトロ発祥の地は、浅草の老舗「金太郎鮨」といわれている。

 

今から50年ほど前のことである。
のれん分けした一番弟子が、自分の食事を用意しているとき、
トロの剥き身に、きざんんだネギをうっかり落としてしまった。
仕方ないから混ぜて、醤油をたらしてみたところ、これが結構イケる。
そこで手巻きにして客に出したら、大ウケしたのである。
ネギトロは偶然発見した食べ物だったのだ。

 

当時は戦後まもないこともあり、進駐軍の影響で、
肉と油の洋食文化が広まってきたころだった。
脂ものに飢えていた日本人は、早速これに飛びついた。
つまり、脂身たっぷりのトロとネギは、純和風の食べ物ではなく、
洋食の影響を受けた、いうなれば和洋折衷料理だったのである。

 

しかし、最近では、赤身に植物油を混ぜてトロみをつくりだし、
それをネギトロとして売り出していることが多い。
ネギトロの厳密な定義が決まっていないとはいえ、
知らず知らずのうちに、まがいものを食べさせられているのだ。
また、世界ではクジラに続いて、クロマグロまで捕獲を禁止
しようという動きも出ている。
魚文化の日本人は、ますます肩身が狭くなりそうである。